散歩コース

街にあふれるレトロ感。人形町ぶらぶら散歩コース

Trivia おすすめコース

人形町駅末廣神社(界隈の氏神様)→甘酒横丁柳屋(東京三大たい焼きのひとつ)→人形町今半総菜本店(特選すき焼きコロッケ)→黒猫古民家大観音寺風情ある小径谷崎潤一郎生誕地快生軒(レトロ喫茶)→江戸落語櫓江戸甘味處つくし(風鈴プリン)→水天宮

日本橋人形町を地図で見ると、さほど広くもない地域。しかし、江戸時代後期まで、ここは歌舞伎や人形浄瑠璃の中心地で、芝居小屋が並び人形師や人形商が多く住んでいました。

江戸初期に遡れば、吉原遊郭が現在の人形町交差点付近にありまして。これを「元吉原」と呼びます。1657年の明暦の大火により、吉原遊郭は浅草の北、千束村へ移転して、そちらは「新吉原」となるわけです。

江戸時代から、そりゃあ、人で賑わう土地だったのですよ。人形町とは歴史とレトロがギュっと詰まった町。散歩が楽しい!

人形町に芳町という花街があった

人形町駅(都営浅草線、東京メトロ東西線)A3出口から地上へ。末廣神社を参拝して甘酒横町へと向かいます。

末廣神社の玉垣に「芳町藝妓藝妓屋組合」とありますね。

芳町とは日本橋人形町に吸収された旧町名。1657年に元吉原が移転した後、そこは私娼窟となり「陰間(かげま)茶屋(男娼のいる茶屋)」も10軒ほどあったといいます。やがて花街が形成され芳町となりました。芝居小屋があって花街があり、多様な人々が集まる場所でした。

末廣神社
玉垣に「葭町藝妓藝妓屋組合」「芳味亭」「今半」と。

人形町といえば甘酒横丁

甘酒横丁へ。明治初めに尾張屋という甘酒屋があったことが横丁名の由来。人形町通りに向かって歩くと左手に東京三大たい焼きのひとつに数えられる柳屋が見えてきます。一個160円で行列のできる名店。

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人形町今半の総菜本店にも立ち寄りたい。特選すき焼きコロッケが一番の人気で、一つ270円。ボリュームあるほくほくコロッケ。一口かじると中から美味な黒毛和牛や白滝が……。高級店の味がとっても安い!

向かいには人形町今半の建物があります。戦後まもなくの建築ですが、レトロな存在感を醸し、夜に訪れると、窓からこぼれる灯りに吸い込まれそうなります。

柳屋のたい焼き。
人形町今半総菜本店のメニュー。
夕暮れ時、人形町今半の建物が情緒たっぷり。

旅情緒あふれる大観音寺脇の小径

とっておきの裏路地を散歩しましょう。

黒猫古民家が見えてきました。地元に方によると、こちらの建物は戦後すぐの建築だそうで、いまは改装されてスナックになっているとのこと。黒猫ちゃん。惹かれます…。

さらに裏路地探検。人形町通りを渡って、人形供養と韋駄天で知られる大観音寺(おおかんのんじ)へ。その脇の小径がこれまた風情ありまして。筆者が人形町で一番好きな小径はココ。

黒猫が目印のこの家屋。猫好きホイホイのスナックかも。
大観音寺脇の風情ある小径。

文豪・谷崎潤一郎が生まれた土地

小径を抜けてしばらく歩くと、文豪・谷崎潤一郎の生誕地レリーフと出会います。レリーフの後ろには「幻の羊かん細雪」と書かれた看板が。

細雪とは谷崎の代表作ですが、その羊羹は生誕地裏にあった和菓子屋さんが売り出したものでした。いまはその和菓子屋も閉店し、看板だけが残ったのです。

その谷崎が「陰翳礼讃」のなかで羊羹の話を書いていてちょっと面白い。

「人はあの冷たく滑らかなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ……」。

いや、それ、羊羹なのですが……。

さすがの筆致です。

※2022年1月13日現在、生誕地裏の建物が取り壊され「幻の羊かん細雪」の看板を見ることができなくなりました。

谷崎潤一郎生誕の地。画像の左上に「幻の羊かん 細雪」と。

懐かしい空間。大正8年創業レトロ喫茶

大正8年創業のレトロ喫茶「喫茶去 快生軒」に立ち寄ります。「喫茶去(きっさこ)」とは禅語でして「お茶飲んで去りな!」から「まぁ茶でも飲みなされ」という意味合いになりました。禅語ですから、その真意は深いはず。

「快生軒」とは安産祈願の水天宮に近いことから「快く生まれる」と創業者がつけたそう。

創業当時はミルクホールだったそうです。ミルクホールとは殺菌した牛乳を軽食とともに出す店で、明治後期から昭和にかけて流行しました。牛乳を飲めば、欧米人みたく逞しくなるという文明開化でもあったでしょう。

ちなみにそんな牛乳も幕末は「コレ飲んだら目が青く髪の毛が赤くなる」といわれたのですよ。

「喫茶去 快生軒」。店内もとてもレトロ。当店で出されるパンは浅草・田原町の老舗「ペリカン」のパンを使用している。

風鈴(プリン)を味わい水天宮へ

人形町通りを水天宮に向かいましょう。

この通りには「からくり櫓」が2つあります。「町火消し櫓」と「江戸落語櫓」。からくり人形は人形浄瑠璃でも用いられ、この2つの櫓は人形町のシンボルともなっています。

水天宮の斜め向かいに「江戸甘味處つくし」があります。著名人の贔屓も多い店ですが、筆者は江戸時代のレシピを再現した「人形町風鈴(プリン)」が大好き。6個詰め合わせで1,620円。数の用意がある日なら、一つ270円でも買えます。濃厚系の舌触りある固めプリン。

「江戸甘味處つくし」は赤飯も有名。
人形町風鈴(ぷりん)。

おっと水天宮が見えてきましたね。戌の日には長い列ができる安産の神様ですが、明治5年に現在地に移転してから人形町の発展を支えた神社でもあります。

さて、人形町散歩はこれにて。 時間のない方に向けてコースを引きましたが、できることなら、時間とルートを気にせず、道に迷いつつの人形町散歩を楽しんでいただけたら。

水天宮から江戸橋への散歩コースはこちら

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